Blade Runner 2 : 上映打ち切りが懸念される「ブレードランナー 2049」の宣伝の大失敗について、デニス・ヴィルヌーヴ監督が、自分の考えを語ってくれた ! !
映画業界関係者とは違って、映画ファンや、ごく一般の観客はお金を払って、映画を観るということの重みを考え直さないといけないのかも…?!
公開して、1週間も経っていないだけに即座に打ち切り…とまではいかないにしても、とりあえず、当初に割り当てた収容人数の多い大きなスクリーンから、小さなスクリーンのミニシアター・タイプの方へ移そう…と、米英のシネコンの支配人たちが検討し、対応をとり始めた「ブレードランナー 2049」の観客が来ない興業的挫折について、当のメガホンをとった渦中のデニス・ヴィルヌーヴ監督が、Vulture の映画ジャーナリスト、カイル・ブキャナンの取材に応じて…、
映画の作り手として、私は傲慢な態度ではいられません…。
…とのことで、何に対しての傲慢なのか?!というと…、
「ブレードランナー 2049」のような映画を、私に作らせてくれるために、彼らは多額のお金を注ぎ込んでくれているんです。彼らは、私に信頼を寄せて、ふんだんに自由を与えてくれた友人たちなんです。
…だそうですから、つまり、映画の製作者、出資者のスポンサーに対して、雇われている側が傲慢な態度はとれない…という、そんなん当り前やん!!のことですが…、
ですから、最終的には映画が成功であってほしいと思います。これは長い道のりを経る旅のようなものなんです。私は、彼らがお金を失うことを望んではいません。
…と、封切りの3日間のオープニング成績だけや、映画館での興業の結果だけではなくて、1本の映画は、その後も DVD / Blu-ray の物理ディスクや、配信によって販売されるほか、テレビでも放送されるなどして、それこそ何年間もの長期にわたって、くりかえし収益をあげていくものだから、商業的な成否を、せっかちにジャッジするのではなく、最終的に黒字になれば…と、デニス・ヴィルヌーヴ監督は願っているのかもしれません。
「ブレードランナー 2049」が、まさに歴史的傑作!!と、映画の玄人や目利きには絶賛されていることを踏まえると、確かにロングセラーとして、オリジナルの「ブレードランナー」(1982年)のように、初公開から35年を過ぎても、その作品の価値が損なわれることはないのかもしれません。
しかしながら、今日を含めて文字通り、その日その日の売り上げを稼がなければ、仕方がない映画館の側としては、そんな悠長なことは言っていられないため、「ブレードランナー 2049」は言わば、お荷物になってしまっている次第ですが、どうして、期待されたほど観客が来ないのか?!、その理由については、興業会社の株価が軒並み下落してしまった “ ブレードランナー・ショック ” をお伝えした昨日の記事でも書いたように、宣伝の失敗が必然的に招いてしまった人為的な事故だと考えられ始めています。
その世間一般の人は、まったく意味もわからなければ、興味も関心も持てなかった「ブレードランナー 2049」の宣伝について、同監督は…、
実際に映画を観ながら、その物語の進展に従って、次第に内容を知っていく…というのが、私が好んでいる理想なんです。
…だそうですから、つまり、事前に予備知識を一切、持たずに、何も知らないまま観る方が、映画はより面白いとお考えのようですが…、
過去に映画祭の審査員をつとめたことが、私にとっては、ひとりの映画ファンとして最高の経験だったと言えるものになっています。
それぞれの映画について、まったく何も知らないまま、私は20本の映画を観なければならなかったんです。あらすじはもちろんのこと、どこの国で作られた映画なのか、どのジャンルに属するものなのかも知りません。ですから、これから目の前で上映される映画が、コメディなのか、それともホラーなのか?!すらもわからないまま、映画を観るんですよ!!
…とのことで、確かに事前に何も知らないまま、いきなり未知の映画を観てみるというのは楽しそうです。そして、それが自分の仕事であり、それによって収入を得られるというのであれば、ひとりの映画ファンとしては、本当に最高の経験なのかもしれません。
しかし、ふだんの慌ただしい仕事のプレッシャーや、日常生活の雑事のストレスから離れて、リフレッシュをするために、映画を観ようと思ったりする観客は、まったく何も知らない映画に対して、サイフからお金を出すことができるのか…?!
また、その映画ファンとしては、極上の経験かもしれないことのために、前述の多額の製作費を出資してくれた友人たちをリスクに晒すのは、いかがなものか…?!、それこそ傲慢だ…と言う人もいるかもしれませんし、「ブレードランナー 2049」のような映画を本当に楽しみにしているマニアな人たちは…、
その人たち自身が充分に配慮をして、予告編を目にしないようにしたり、こうした映画の記事を絶対に読まないようにするでしょうから、そうではない一般の観客に向けては、どこが面白い映画なのか?!、どんな事件が起きるのか?!の発端だけでも教えてあげた方がよかったのかもしれません…?!、できれば映画は、ほんのひと握りのマニアではなく、大勢の人に楽しんでもらえるように宣伝や、紹介をしたほうが、やはり、成功につながるように思われますし、「エクソシスト」は、少女に悪魔が憑りついたから、それを追い払う映画だとか、「ダイハード」は、高層ビルがテロリストに襲われて、ひとりの刑事が立ち向かう映画だとか、言ったぐらいでは、映画の価値を損なうネタバレにはならないのでは…?!