Dark Phoenix :「X-Men」シリーズ最終章「ダーク・フェニックス」は、どうして、108億円を超える巨額赤字におちいる転落になったのか ? !、メガホンをとったサイモン・キンバーグ監督が、ウワサのジェームズ・キャメロン監督の圧力も含めて、FOX の内情の真相を語ってくれた ! !
現在のヒーロー映画ブームの先駆けとして、20年近い歴史を持つ「X-Men」が有終の美を飾れなかったことについて、サイモン監督が語ってくれました!!
映画館に足を運んでくれなかった観客の気持ちに対して、映画が何ら働きかけず、結びつきを持つことができなかったのは明白だし、また、映画を観てくれた観客の気持ちにすら、充分な結びつきを持つことができなかったのは、ぼくの責任なんだよ…。
…とのことで、今週はじめの全米映画ボックスオフィスTOP5 でレポートしたように、「X-Men」シリーズの最終章「ダーク・フェニックス」の興行が挫折し、1億ドル、つまり、約108億円を超える赤字の損失が見込まれるハメになったサイモン・キンバーグ監督が…、
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サンタモニカ・カレッジから放送している非営利の公共ラジオ局 KCRW の番組「ザ・ビジネス」にゲスト出演し、「ダーク・フェニックス」の失敗について語ってくれました…!!
業界メディアの Deadline が伝えた試算によれば、撮り直しに要した追加の経費と宣伝費を含めたトータルの製作費が、実に3億5,000万ドル以上の巨額にまで膨らんだ「ダーク・フェニックス」が、仮りに全世界の興行成績の最終的な総売り上げとして見込まれる3億2,500万ドルを稼いだとしても、1億ドル、つまり、約108億円を超える赤字になってしまう「ダーク・フェニックス」の歴史的な失敗について…、
この手のタイプの映画は厳しいな…って、ずっと感じていたんだ…。
…とのことで、何が厳しいのか?!と言うと…、
お決まりのヒーロー映画を作ったわけじゃないんだ。もっと小じんまりとして、ドラマチックな小品のつもりだったんだ…。
…だそうですから、「X-Men」シリーズのヒーロー映画と言っても、とにもかくにも娯楽志向のブロックバスター映画ではなく、どちらかと言えば、いわゆる単館系の中身で勝負をするシネマ・スペシャリテに近いものをイメージしていたそうですから…、
そもそもは2018年11月封切りのはずだったのが、2019年2月公開に変わったんだけれど、それらの封切りのタイミングは、この映画にふさわしいものだと思っていた…。
…と、つまり、書き入れ時の夏場にブロックバスター映画同士が観客を奪い合うサマームービー・ウォーズの渦中に封切った公開戦略の判断が、必ずしも「ダーク・フェニックス」にふさわしいわけではなかった…と、サイモン・キンバーグ監督は配給の失敗を語っているわけですが…、
考えてもみてよ、映画史上2番めの超特大ヒットにまで昇りつめた大作が封切られたあとの5〜6週間後に、同じジャンルの映画を公開するんだよ、それは僕たちにとってはキツいよ…
…と、「アベンジャーズ : エンドゲーム」の大ヒットのブームが静まりきらないうちに「X-Men」の新作を封切るのは時期尚早だし、同じコミックヒーロー映画のジャンルだからと言って、「エンドゲーム」に感激した観客が、さらに「X-Men」も観よう!!と、アベンジャーズの人気を追い風とし、その恩恵をこうむることは、まず無い…と、サイモン・キンバーグ監督は考えていたそうです…。
それにしても、だったら、どうして、「ダーク・フェニックス」を今春2月に公開する…という封切り日にこだわり、それを維持しなかったのか?!、その背景の裏事情としては…、
今春4月まで…と、すなわち、FOX が実際にディズニーの傘下に下るまで、同社の代表の CEO をつとめたステイシー・スナイダーさんが「アリタ : バトル・エンジェル」を救済するため…、
「ダーク・フェニックス」の封切りを遅らせる延期を強固に求めたらしいことが、前述の業界メディアの Deadline であわせて伝えられたことから、「アリタ」の仕掛け人のプロデューサー、ジェームズ・キャメロン監督からの圧力があったのでは…?!というのがギョーカイのウワサになっているのですが…、
知るよしもなかったんだよ…。
…とのことで、当初の予定では昨2018年末に全米公開のはずだった「アリタ : バトル・エンジェル」が、DC ヒーロー映画の「アクアマン」や「トランスフォーマー」のスピンオフ「バンブルビー」、また、ディズニー映画の「メリー・ポピンズ・リターンズ」に、マーベルのアニメ映画「スパイダーマン : イントゥ・ザ・スパイダーバース」などと競りあい、観客を奪いあう興行バトルを戦うのは極めて、きびしい…と…、
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誰の目にも明らかな苦戦から脱したい…という当然のことを考えたプロデューサーのジェームズ・キャメロン監督が「ダーク・フェニックス」から封切り日を奪ってしまったのか…?!という不穏なウワサそのものよりも、昨2018年の秋に行われた撮り直しによる完成の遅れを持ち出したサイモン・キンバーグ監督は…、
映画の中の特定の要素について、もしも、僕たちがもっと速く進められていたならば、封切りまでにたぶん間に合っていたと思うんだ…。
…と応じて、「アリタ : バトル・エンジェル」と「ダーク・フェニックス」とが天秤にかけられたらしい…という事情のみならず、今週の半ばにお伝えしたように、「キャプテン・マーベル」とカブっていたらしい?!問題なども絡んでいたように思われますから…、
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運悪く?!複数の事情が絡みあい、期せずして、厄介な状況に追い込まれてしまった「ダーク・フェニックス」とサイモン・キンバーグ監督には、自殺的?!とわかっていながらも、サマームービー・ウォーズの渦中で散る運命を受け入れるしかなかったのかもしれません…。そして…、
そうした「ダーク・フェニックス」の封切り日が二転三転した経緯や、マーベル・シネマティック・ユニバースとの絡みが生じた背景には、ディズニーが FOX を買収し、傘下におさめることになった…という映画業界のみならず、エンタメ産業全体に大きな影響を与える歴史的な再編があったわけですが…、
そうなんだ、まったく疑問の余地なく、人々は解雇されたり、自ら退職していったんだ…。
…とのことで、親会社のディズニーによる FOX の人員整理について語ってくれたサイモン・キンバーグ監督は…、
大規模な人員整理のレイオフが行われるだろうことは、みんな覚悟していたんだ…。そして、その究極の人員整理が、ついに過去の半年間ぐらいにわたって、実行された…。無数の数の人たちが仕事を失うことになった…。
しかも、その大量解雇の煽りをもろに食らったのが…、
マーケティングと宣伝の部署なんだ。とりわけ強烈な打撃を食うことになった…。ぼくは毎週、定例のマーケティング会議に出席するんだけれど、もう、あからさまに気づかざるを得ないんだ。人がドンドンと減っていくんだよ…。いなくなった人たちは、ぼくが長年にわたって、たくさんの映画で一緒に仕事をしてきた人たちだよ…。
…と、FOX の深刻な内情を語ってくれたサイモン・キンバーグ監督は実のところ、自分が初めて、メガホンをとった監督デビュー作の「ダーク・フェニックス」のことより、むしろ、解雇され、職を失った FOX の社員と家族の問題の方が重要であり、映画の赤字よりも、仲間の行く末の方が不安でならないそうです…。
ですから、「ダーク・フェニックス」の挫折は実のところ、ディズニーに吸収されたに等しい 20世紀FOX の挫折か…と言いかえることができるのかもしれませんが、消えていった FOX のパブリシストに代わって、「ダーク・フェニックス」の宣伝を進めたディズニーについて、同監督は…、
映画の宣伝マーケティングに関して、ディズニーが世界最高の水準にあるのは明白だと思う。でも、彼らの宣伝のプロセスは通常、封切りの約1年前ぐらいから始まるんだ。でも、ぼくたちの場合は、彼らが着手をした時点でもう公開の2ヶ月前だったからね…。
…とのことで、ディズニー側の宣伝マーケティングのパブリシストたちが「ダーク・フェニックス」を成功させてあげたい!!と思ったとしても、ディズニーと FOX との合体が公式に完了するまでは、FOX の仕事には手出しも口出しもできないわけですから、実のところ、ディズニーもどうすることもできなかった…というお手上げ状態を補足してくれています…。
よって、「X-Men」シリーズの最終章「ダーク・フェニックス」を封切るというのに、FOX の宣伝マーケティングのスタッフは解雇されて、次々にいなくなり、手薄になるのに、ディズニー側の宣伝マーケティングのスタッフは、その自滅?!をただ指をくわえて、何もできずに見ているしかなかった…という最悪のタイミングの中で、もがいていたのか…というのも窺い知れたわけですが、以上のような様々に失敗につながる要因を一切合切ひっくるめて…、
ぼくはハッキリ言っておくけれど、映画が上手く行かなったなら、その責任は、ぼくにあるんだよ。ぼくが脚本を書いて、監督をしたんだ。観客が映画を気に入らなかったって?!、だったら、それはぼくのせいだよ…。
…と、自分ひとりが責任をとって、腹を切る覚悟を語ってくれた点においては、サイモン・キンバーグ監督は一人前の立派な監督だ…と、彼を認めてあげてもよいのではないでしょうか…。そして…、
どうして、一本気のジェンが、これまでずっと、ブライアン・シンガー監督の縁の下の力持ちとして、同監督の尻拭いをしてきたサイモン・キンバーグこそ監督にしなさい!!と、FOX に対し、ほとんど命令に近い強硬な要求をしたらしいのか、その理由も少し、わかったような気がしましたね…。
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